どこに行きたいかと聞かれたら絶対海だ!泳ぐっていうか、波打ち際で ばしゃばしゃはしゃぎたい。サソリさんにそう言ったら、泳げないんだろって ばかにされた!泳げます!あたし、とびうおのように華麗に泳げますよ!
「旦那、、こんなもん拾ってきたぞ、うん。」
そう言ってデイダラがあたし達に差し出してきたものは、なんということでしょう、 ア○ベルトによく似た自転車だった。こんなもんどこで見つけてきたんだ、一体?
「お二人さん今からデートだろ?うん?」
「デートといえば、やっぱりこれだ!自転車二人乗りなんて青春の象徴だ、うん。 これ、おいらのおススぐぼっ!?」
あたしはすかさずデイダラにアッパーパンチをくらわせ、「デート?デートなのか?」 とぶつぶつ言ってるサソリさんから離れ、
「そんなもんよりあんたのとりさんの方がいいのよ。海に行くんだから、遠いでしょ?」
くっと襟首を締めながらデイダラをひきよせて言うと、目をうるうるさせながら、こくこくと 二回頷き、とりさんを出してくれた。やったー!密着ということを考えると自転車でも よかったけど、あたし、こぐのは絶対嫌!サソリさんもあんな顔しておっさんだから絶対無理! 色々考えをめぐらせているとデイダラが耳打ちしてきた。何よ、くすぐったいってば。
「今日は帰ってこなくていいぞ、うん。」
かっと顔に血が集まっていくのが分かって、何か言い返さなくちゃと思い口をぱくぱくさせて いるとデイダラはにやにやしながら「がんばれよ。」 と言ってアジトに戻っていった。あ、あいつ、帰ってきたら、い、痛い目に合わせてやるんだからね。
「そろそろ行くか。」
サソリさんが鳥さんにまたがったったので、あたしもそれに続いた。何か遊園地にある乗り物みたい。 ほら、あの、お金入れたら音楽鳴りながら歩くやつ。ぱんださんとかぞうさんとかあるじゃん。 サソリさんかわいいなぁ。二人が乗ると、鳥さんは一気に飛び立った。 うぁー気持ちいい!風を切って雲の合間を抜けて、ほら、もう、視界の向こうに海が見えてきた。 と、そのとき
「ギャッ!?」
サソリさんがあたしの足を撫でてきた。セ、セクハラ!セクハラよ、それは!
「何!?」
「いや、落っこちてないか確かめただけだ。」
ふんっと言いながらサソリさんはまた前を向いた。もしかして心配してくれてた?
「サソリさん、もしかして心配してくれてるんですか?」
「・・・違う。落っこちてればいいのにと思ったんだ。」
後ろからサソリさんの顔をのぞき込むとプイとそらされた。
ねぇ、サソリさん。サソリさんのその頬にキスしたらあなたはどんな顔するのかな。


ニヒルな顔のフリをする

かわいいあなた